第11章−2
(2)
『白髪の魔道士』は物憂げな視線を窓の外に投げた。
彼はガールディー・マクガイルが意外にも自分の思う通りにならないのに苛立ちを感じていた。
やはりガールディーが『光』に寄せる想いには常人よりも強いものがある。
だからこそ容易には心が『闇』に染め変えられないのだ。
厄介な相手だった。
もとよりガールディーに『闇』を憑かせたのは、世界を一撃の下に破滅させてしまう終結魔法−ワールド・エンド−を使わせるためだった。
しかし、心の奥に残った彼の理性がそれを阻んでいる。
ガールディーの人格を完全に壊さない限り、ワールド・エンドを使わせることは出来ない。
『四禁魔法』の使い手を他に見つけることが出来たら…。
もっとも、チャーリー・ファインは使えない。
彼女に『闇』をとり憑かせるのは不可能だ。
チャーリー・ファインは『闇』そのものと言ってもいい存在なのだから。
ティルト・ウェイトを使うことが出来れば話は早かったのだが、彼女が『光』の側に興味を示している以上考えても仕方のないことだ。
残る二つの『四禁魔法』は、一体どこに…?
生命法術−エクスティエンス。
審判魔法−ラストジャッジメント。
使い手はどこにいる?
探してみる価値はありそうだ。
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