第17章−2
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 アントウェルペン・ベルが温かい飲み物を用意するために部屋を出て行ってすぐ、ヴァシルは再びソファにごろりと寝転がった。
「あ───…ハラ減ったな」
 ぼそりと呟いている。呆れ顔で見下ろすチャーリーには気づかぬ様子で、
「飲みモンより夜食でも作ってもらった方がよかったなァ」
 等とぶつぶつ言っている。
「…あの」
「ん?」
 チャーリーとヴァシルは同時に声のした方に顔を向けた。
 ちょっとたじろいでしまいつつ、コートは続ける。
「フレデリックさんは、どちらに?」
「………」
「………」
「あの」
「そー言えばドコ行ったんだ、アイツ?」
 ヴァシルはすぐさまむくりと起き上がって座り直すと、何となく部屋の中をぐるりと見回した。
 もちろんこの部屋にはフレデリックの姿はない。
 一体どこではぐれたんだ?
 コートを連れてここまで戻って来たときにはちゃんと一緒にいたハズだから…。
「まさか研究所の中で面倒起こしてるんじゃないだろうなぁ…」
 片手を額に当てて、チャーリーは大袈裟な身振りでため息をつく。
 それから、テーブルの上にほとんど中身の残っていないマグカップを置きに行く。
「探してくる」
「オレも」
「わたしが」
「二人はここにいて」
 ヴァシルとコートの申し出をすっぱりと拒否して、チャーリーは一人で部屋を出て行った。
 残された二人は少しだけ顔を見合わせ、ヴァシルは小さく肩をすくめてみせた。

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